モノ作りを軽視するな / 日本型経営に自信
超元気企業 花王 / キャノンの社長談
★22期連続最高益達成へ・花王社長 後藤卓世さん(62)
 脂肪がつきにくいとして好評の食用油、健康エコナシリーズの年間販売は250億円に迫り、99年の発売から2ケタ増を続ける。花王の03年3月期の連結経常利益は22期連続で最高益を達成する自通し。低空飛行を続ける日本経済の中で、異例の成長を遂げている。
 「うちも過去には失敗した商品がたくさんあるが、すべては基本をきちんとやることだと思う。お客様のニーズを探り、基礎研究を十分実施、作った商品をしっかり売るだけだ」と淡々と語る。
 昨夏には米ヘアケアメーカーを540億円で買収し、中国に持ち株会社を設立するなど積極的な海外展開の指揮をとった。「日本はもう80年代のような高度成長は期待できない。築いてきた研究成果や技術を生かすため、海外に市場を求めるのは一つの手法だ」。今後も欧米企業のM&A(企業の合併・買収)を前向きに実施する考えだ。
 一方で、製造業としての地道な姿勢を重視する。「今の景気低迷の背景には、『3K』(汚い・きつい・危険)などと言って、モノ作りをバカにしてきたツケがあると思う。人間の基本は衣食住であり、それにかかわるモノ作りを軽視したら、何も生まれない」と力をこめる。【宇田川恵】

★日本型経営に自信 キヤノンの御手洗富士夫社長
 「社外取締役が、生え抜き役員の経営を監視するのは失礼だ」。キヤノンの御手洗富士夫社長は10日、東京都内での講演会で、電機メーカーなどが相次いで導入する「委員会等設置会社」の制度を批判した。社外取締役が中心になって経営をチェックする米国型の制度だが、同社の取締役24人はすべて社内出身と説明し、「(会社は)社外の誰にも監視できない」と強調した。
 御手洗氏は米国で23年間勤務した経験があるが、「米国の一流企業は社員の入れ替わりが激しく、経営者と社員の距離が遠い。社会や文化を生かした経営が必要だ」と、日本型経営に自信満々だった。 【藤田裕伸】
《出典》毎日新聞 (15/04/12) 前頁      次頁