住宅買い替えで7割弱が損失発生
平均3割5分の下落
 昨年初めから今年7月までに首都圏で自宅を買い替えた人の7割弱が損失を出していたことが、住宅メーカーなどで構成する住宅生産団体連合会が発表した「自己居住用住宅の買い替え事例調査報告」で明らかになった。
 調査対象は首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の居住者で、昨年1月から今年7月までに自宅の買い替えをした222件。このうち、66%は買い替えによって譲渡損失が発生し、損失額の平均は1290万円だった。購入価格より平均で約34%低い価格で売却されたことになる。そのうち約6割が、最大4年間にわたって、課税の際、損失分が所得から控除できる「譲渡損失繰り越し控除」を受けたが、ローンが残っていることや、5年以上所有していることが適用要件のため、この要件を満たしていない残り4割の人は、この恩恵を受けられなかった。

 一方、買い替えによって譲渡所得が生じた割合は25%。1990年以前に購入した物件がほとんどで、譲渡所得額の平均は2269万円だった。73%が「3000万円の特別控除」を受け、課税の延期となる「買い替え特例」を受けた割合は11%だった。

 住宅の優遇税制は1999年1月から自宅の買い替えで譲渡損失が出た場合、4年間にわたり所得税、住民税の控除が認められ、住宅ローン控除との併用もできるようになった。一方、譲渡所得が生じた場合は3000万円の特別控除を適用するか、買い替え特例を受けられるようになっている。
《出典》朝日新聞 (12/09/15) 前頁      次頁