SBSのユーザー事例
SBSとOCN使い自前で構築(建匠)
見積もりをホームページで
「住宅の価格は坪当たりいくらと、どんぶり勘定で見積もられているが、きちんと積算してお客さまに説明すべきだ」。東京都目黒区にある建築業者、建匠の辻隆夫社長は熱っぽく語る。
 同社は住宅の設計・施工を中心にとする、いわば街の工務店。業界全体が落ち込むなか、口コミで受注を順調に伸ばす。宣伝に一役買っているのがインターネットだ。
 同社は97年5月と早くから、ホームベージを開設している(http://www.kensyo.co.jp/)。当初はNECのBiglobeのサービスを利用していたが、現在はSBSを使ってユニークなホームベージを自前で公開している。モデル住宅で、仕上げ仕様や設備、家具などを選んで計算ボタンを押すと、建築費を積算してくれるというものだ(写真1)。「一般に使われている坪単価がいかに不透明かを実感できるはず」と、辻氏は話す。

ホームページで建築家との橋渡しも
 もう一つ、ホームページ上で人気があるのは、建築家とその作品例を紹介したアーキテクツモールである(写真2)。
「建築家というと、一般の人にとっては垣根が高いが、彼らの仕事振りに接してもらい、もっと身近に感じてもらいたい」(辻氏)という狙いだ。住宅をこれから建てようという人の質問に、建築家が直接回答するQ&Aのコーナーも立ち上げた。
 これらのシステムとコンテンツを、ベンダーの手を借りずに、社長である辻氏がすべて独力で開発したというから驚く。98年9月に、コンパックコンピュー夕のProSignia200 (PentiumⅡ‐300MHz、メモリー96Mバイト、ハードディスク4.3Gバイト)のSBSモデルを購入。自社名のドメインを取得し、NTTのOCNエコノミーを使って、10月末から提供し始めた。住宅の建築費積算などのCGIプログラムもPerl言語を使って自ら書いた。
 実は、辻氏は大手ゼネコンの技術研究所に勤務した経験があり、コンピュータに対して明るかったことが背景にある。IT(情報技術)が経営にもたらす効果を重視し、創業間もない20年前に、すでにオフコンを導入していたという。現在のオフコンは3世代目。オフコンのプログラムもCOBOLで自ら開発した。ホームベージ上の建築費積算システムはオフコン上のプログラムを基に作成したものだ。

SBSのインストールには苦労
 ただし、Windows NTは初めてだったこともあり、SBSの導入には苦労したという。そもそもインストールからつまづいた。プロキシ・サーバーが正常に動作せず、3回ほどインストールをし直した。NICを2枚にすれば解決できるとわかるまで、約2週間費やした。
 DNSサーバーの設定も簡単にはいかなかったという。マイクロソフトとNTTの資料に矛盾点があり、1つずつ確認しなければならなかった。さらに、ルーターの初期不良が追い打ちをかけた。結局、機材を購入してから稼働させるまでに約2カ月かかってしまった。「SBSは専任のシステム管理者がいなくでも簡単に使えるというふれこみだが、結構難しい」、というのが辻氏の率直な感想だ。
 SBSを選んだのは、サーバー機込みで60万円強と安かったことと、FAX共有機能を装備している点を評価したため。実際、「コストと機能には満足している。今後はNTのノウハウを蓄積し、オフコン上のソフトを少しずつNTに移行していきたい」と、辻氏は語る。
《出典》日経WindowsNT (11/02/01) 前頁      次頁