◀前 【19.子張:第24】 次▶叔孫武叔。毀仲尼。子貢曰。無以爲也。仲尼不可毀也。他人之賢者。丘陵也。猶可踰也。仲尼日月也。無得而踰焉。人雖欲自絶。其何傷於日月乎。多見其不知量也。
叔孫武叔、仲尼を毀る。子貢曰く、以て為す無きなり。仲尼は毀るべからざるなり。他人の賢者は丘陵なり。猶お踰ゆべきなり。仲尼は日月なり。得て踰ゆる無し。人自ら絶たんと欲すと雖も、其れ何ぞ日月を傷らんや。多に其の量を知らざるを見すなり。
叔孫武叔が仲尼をそしった。すると子貢がいった。――
「そういうことはおっしゃらない方がよろしいかと存じます。仲尼先生は傷つけようとしても傷つけることのできない方です。ほかの賢者は丘陵のようなもので、ふみこえることもできましょうが、仲尼先生は日月のように高くかかっていられて、ふみこえることができません。仲尼先生をそしって、絶縁なさいましても、日月のようなあの方にとってはなんの損害もないことです。かえってそしる人自身が自分の力を知らないということを暴露するに過ぎないでしょう」(下村湖人『現代訳論語』)