◀前 【17.陽貨:第24】 次▶
子貢曰。君子亦有惡乎。子曰。有惡。惡称人之惡者。惡居下流而訕上者。惡勇而無禮者。惡果敢而窒者。曰。賜也亦有惡乎。惡徼以爲知者。惡不孫以爲勇者。惡訐以爲直者。
こういわく、くんにくむことるか。のたまわく、にくむことり。ひとあくしょうするものにくむ。りゅうかみそしものにくむ。ゆうにしてれいものにくむ。かんにしてふさがるものにくむ。いわく、にくむことるか。かすめてもっものにくむ。そんにしてもっゆうものにくむ。あばいてもっちょくものにくむ。
子貢がたずねた。――
「君子も人を憎むということがありましょうか」
先師がこたえられた。
「それはあるとも。他人の悪事をいい立てるものを憎むのだ。下位にいて、上をそしる者を憎むのだ。勇のみあって礼のないものを憎むのだ。思いきりがよくて道理にもとるものを憎むのだ」
それから、子貢にたずねられた。――
「お前にも憎む人があるのか」
子貢がこたえた。――
「先まわりして物事をさぐっておいて、知ったかぶりする者を憎みます。傲慢不遜を勇気だと心得ている者を憎みます。人の秘密をあばいて正直だと思っている者を憎みます」(下村湖人『現代訳論語』)