◀前 【17.陽貨:第15】 次▶子曰。鄙夫可與事君也與哉。其未得之也。患得之。既得之。患失之。苟患失之。無所不至矣。
子曰く、鄙夫は与に君に事うべけんや。其の未だ之を得ざるや、之を得んことを患う。既に之を得れば、之を失わんことを患う。苟くも之を失わんことを患うれば、至らざる所無し。
先師がいわれた。――
「心事の陋劣な人とは、とうていいっしょに君に仕えることができない。そういう人は、まだ地位を得ないうちは、それを得たいとあせるし、いったんそれを得ると、それを失うまいとあせるし、そして、それを失うまいとあせり出すと、今度はどんなことでもしかねないのだから」(下村湖人『現代訳論語』)