◀前 【17.陽貨:第09】 次▶
子曰。小子何莫學夫詩。詩可以興。可以觀。可以羣。可以怨。邇之事父。遠之事君。多識於鳥獣草木之名。
のたまわく、しょうなんまなぶこときや。もっおこすべく、もっるべく、もっぐんすべく、もっうらむべし。これちかくしてはちちつかえ、これとおくしてはきみつかう。おお鳥獣ちょうじゅう草木そうもくる。
先師が門人たちにいわれた。――
「お前たちはどうして詩経を学ぼうとしないのか。詩は人間の精神にいい刺戟を与えてくれる。人間に人生を見る眼を与えてくれる。人とともに生きるこころを培ってくれる。また、怨み心を美しく表現する技術をさえ教えてくれる。詩が真に味わえてこそ、近くは父母に仕え、遠くは君に仕えることもできるのだ。しかも、われわれは、詩をよむことによって、鳥獣草木のような自然界のあらゆるものに親しむことまでできるのではないか」(下村湖人『現代訳論語』)