◀前 【17.陽貨:第06】 次▶子張問仁於孔子。孔子曰。能行五者於天下爲仁矣。請問之。曰。恭寛信敏惠。恭則不侮。寛則得衆。信則人任焉。敏則有功。惠則足以使人。
子張仁を孔子に問う。孔子曰く、能く五者を天下に行うを仁と為す。之を請い問う。曰く、恭・寛・信・敏・恵なり。恭なれば則ち侮られず、寛なれば則ち衆を得、信なれば則ち人任じ、敏なれば則ち功有り、恵なれば則ち以て人を使うに足る。
子張が仁について先師にたずねた。先師はいわれた。――
「五つの徳で天下を治めることができたら、仁といえるだろう」
子張はその五つの徳についての説明を求めた。すると、先師はいわれた。――
「恭・寛・信・敏・恵の五つがそれだ。身も心もうやうやしければ人に侮られない。他に対して寛大であれば衆望があつまる。人と交わって信実であれば人が信頼する。仕事に敏活であれば功績があがる。恵み深ければ人を働かせることができる」(下村湖人『現代訳論語』)