◀前 【14.憲問:第46】 次▶原壤夷俟。子曰。幼而不孫弟。長而無述焉。老而不死。是爲賊。以杖叩其脛。
原壌夷して俟つ。子曰く、幼にして孫弟ならず、長じて述ぶること無く、老いて死せず。是を賊と為すと。杖を以て其の脛を叩く。
原壌が、両膝をだき、うずくまったままで、先師が近づかれるのを待っていた。先師はいわれた。――
「お前は、子供のころには目上の人に対する道をわきまえず、大人になっても何ひとつよいことをせず、その年になってまだ生をむさぼっているが、お前のような人間こそ世の中の賊だ」
そういって、杖で彼の脛をたたかれた。(下村湖人『現代訳論語』)