◀前 【14.憲問:第45】 次▶子路問君子。子曰。脩己以敬。曰。如斯而已乎。曰。脩己以安人。曰。如斯而已乎。曰。脩己以安百姓。脩己以安百姓。堯舜其猶病諸。
子路君子を問う。子曰く、己を脩めて以て敬す。曰く、斯のごときのみか。曰く、己を脩めて以て人を安んず。曰く、斯のごときのみか。曰く、己を脩めて以て百姓を安んず。己を脩めて以て百姓を安んずるは、堯舜も其れ猶お諸を病めり。
子路が君子の道をたずねた。先師がこたえられた。――
「大事に大事に細心な注意をはらって、自分の身を修めるがいい」
子路――
「それだけのことでございますか」
先師――
「自分の身を修めて人を安んずるのだ」
子路――
「それだけのことでございますか」
先師――
「自分の身を修めて天下万民を安んずるのだ。天下万民を安んずるのは、堯舜のような聖天子も心をなやまされたことなのだ」(下村湖人『現代訳論語』)