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子路問君子。子曰。脩己以敬。曰。如斯而已乎。曰。脩己以安人。曰。如斯而已乎。曰。脩己以安百姓。脩己以安百姓。堯舜其猶病諸。
子路しろくんう。のたまわく、おのれおさめてもっけいす。いわく、かくのごときのみか。いわく、おのれおさめてもっひとやすんず。いわく、かくのごときのみか。いわく、おのれおさめてもっひゃくせいやすんず。おのれおさめてもっひゃくせいやすんずるは、堯舜ぎょうしゅんこれめり。
子路が君子の道をたずねた。先師がこたえられた。――
「大事に大事に細心な注意をはらって、自分の身を修めるがいい」
子路――
「それだけのことでございますか」
先師――
「自分の身を修めて人を安んずるのだ」
子路――
「それだけのことでございますか」
先師――
「自分の身を修めて天下万民を安んずるのだ。天下万民を安んずるのは、堯舜のような聖天子も心をなやまされたことなのだ」(下村湖人『現代訳論語』)