◀前 【14.憲問:第43】 次▶子張曰。書云。高宗諒陰三年不言。何謂也。子曰。何必高宗。古之人皆然。君薨。百官緫己。以聽於冢宰三年。
子張曰く、書に云う、高宗諒陰三年言わずと。何の謂いぞや。子曰く、何ぞ必ずしも高宗のみならん。古の人は皆然り。君薨ずれば、百官己を総べて、以て冢宰に聴くこと三年なり。
子張がいった。――
「書経に、高宗は服喪中の三年間口をきかなかった、とありますが、どういう意味でございましょうか」
先師がこたえられた。――
「それは高宗にかぎったことではない。古人はみなそうだったのだ。君主がおかくれになると、三年の間は、百官はそれぞれの職務をまとめて、すべて首相の指図に従うことになっていたので、あとに立たれた君主は口をきく必要がなかったのだ」(下村湖人『現代訳論語』)