◀前 【14.憲問:第38】 次▶公伯寮愬子路於季孫。子服景伯以告曰。夫子固有惑志於公伯寮。吾力猶能肆諸市朝。子曰。道之將行也與。命也。道之將廢也與。命也。公伯寮其如命何。
公伯寮、子路を季孫に愬う。子服景伯以て告げて曰く、夫子固より公伯寮に惑志有り。吾が力猶お能く諸を市朝に肆さん。子曰く、道の将に行われんとするや命なり。道の将に廃れんとするや命なり。公伯寮其れ命を如何せん。
公伯寮が子路のことを季孫にざん言した。子服景伯が先師にその話をして、いった。――
「季孫はむろん公伯寮の言にまどわされていますので、心配でございます。しかし、私の力で、なんとかして子路の潔白を証明し、公伯寮の屍をさらしてお目にかけますから、ご安心下さい」
すると先師はいわれた。――
「道が行なわれるのも天命です。道がすたれるのも天命です。公伯寮ごときに天命が動かせるものでもありますまいから、あまりご心配なさらない方がよいと思います」(下村湖人『現代訳論語』)