◀前 【14.憲問:第22】 次▶陳成子弑簡公。孔子沐浴而朝。告於哀公曰。陳恆弑其君。請討之。公曰。告夫三子。孔子曰。以吾從大夫之後。不敢不告也。君曰。告夫三子者。之三子告。不可。孔子曰。以吾從大夫之後。不敢不告也。
陳成子、簡公を弑す。孔子沐浴して朝し、哀公に告げて曰く、陳恒其の君を弑す。請う之を討たん。公曰く、夫の三子に告げよ。孔子曰く、吾は大夫の後に従うを以て、敢えて告げずんばあらざるなり。君は曰く、夫の三子者に告げよと。三子に之きて告ぐ。可かれず。孔子曰く、吾は大夫の後に従うを以て、敢えて告げずんばあらざるなりと。
斉の大夫陳成子がその君簡公を弑した。先師は斎戒沐浴して身をきよめ、参内して哀公に言上された。――
「斉の陳恆が君を弑しました。ご討伐なさるがよろしいと存じます」
哀公がいわれた。――
「まずあの三人に話してみるがいい」
先師は退出して嘆息しながらいわれた。――
「自分も大夫の末席につらなっている以上、黙ってはおれないほどの重大事なので、申し上げたのだが、ご決断がつかないとみえて、あの三人に話せとおおせられる。いたしかたもない」
先師はそういって三家に相談にいかれた。三人は賛成しなかった。先師はまた嘆息していわれた。――
「自分も大夫の末席につらなっている以上、黙ってはおれないほどの重大事なので、いったのだが、三人とも気にもかからぬとみえる。なんということだろう」(下村湖人『現代訳論語』)