◀前 【12.顔淵:第21】 次▶
樊遅從遊於舞雩之下。曰。敢問崇徳。脩慝。辨惑。子曰。善哉問。先事後得。非崇徳與。攻其惡。無攻人之惡。非脩慝與。一朝之忿。忘其身以及其親。非惑與。
はんしたがいて舞雩ぶうもとあそぶ。いわく、えてとくたっとび、とくおさめ、まどいをべんずるをう。のたまわく、いかないや。ことさきにしてるをのちにす。とくたっとぶにあらずや。あくめ、ひとあくめず。とくおさむるにあらずや。いっちょう忿いかりにわすれ、もっしんおよぶ。まどいにあらずや。
はんが先師のお伴をして舞雩ぶうのほとりを散歩していた。彼はたずねた。――
「生意気なおたずねをするようですが、徳を高め、心の奥深くひそんでいる悪をのぞき、迷いを解くには、どうしたらよろしゅうございましょうか」
先師がこたえられた。――
「大事な問題だ。為すべき事をどしどしかたづけて、損得をあとまわしにする。これが徳を高くする道ではないかね。自分の悪をせめて他人の悪をせめない。これが心に巣喰っている悪をのぞく道ではないかね。一時の腹立ちで自分を忘れ、わざわいを近親にまで及ぼす。これが迷いというものではないかね」(下村湖人『現代訳論語』)