◀前 【12.顔淵:第11】 次▶齊景公問政於孔子。孔子對曰。君君臣臣。父父子子。公曰。善哉。信如君不君。臣不臣。父不父。子不子。雖有粟。吾得而食諸。
斉の景公、政を孔子に問う。孔子対えて曰く、君君たり、臣臣たり。父父たり、子子たり。公曰く、善いかな。信に如し君君たらず、臣臣たらず、父父たらず、子子たらずんば、粟有りと雖も、吾得て諸を食わんや。
斉の景公が先師に政治について問われた。先師はこたえていわれた。――
「君は君として、臣は臣として、父は父として、子は子として、それぞれの道をつくす、それだけのことでございます」
景公がいわれた。――
「善い言葉だ。なるほど君が君らしくなく、臣が臣らしくなく、父が父らしくなく、子が子らしくないとすれば、財政がどんなにゆたかであっても、自分は安んじて食うことはできないだろう」(下村湖人『現代訳論語』)