◀前 【12.顔淵:第09】 次▶哀公問於有若曰。年饑用不足。如之何。有若對曰。盍徹乎。曰。二吾猶不足。如之何其徹也。對曰。百姓足。君孰與不足。百姓不足。君孰與足。
哀公、有若に問いて曰く、年饑えて、用足らず。之を如何せん。有若対えて曰く、盍ぞ徹せざるや。曰く、二だにも吾猶お足らず。之を如何ぞ其れ徹せんや。対えて曰く、百姓足らば、君孰と与にか足らざらん。百姓足らずんば、君孰と与にか足らん。
魯の哀公が有若にたずねられた。――
「今年は飢饉で国庫が窮乏しているが、何かよい案はないのか」
有若がこたえていった。――
「どうして十分の一税になさいませんか」
哀公がいわれた。――
「十分の二税を課しても足りないのに、十分の一税になど、どうしてできるものか」
すると、有若がいった。
「百姓がもし足りていたら、君主として、あなたはいったい誰とともに不足をおなげきになりますか。百姓がもし足りていなかったら、君主として、あなたはいったい誰とともに足りているのをお喜びになりますか」(下村湖人『現代訳論語』)