◀前 【12.顔淵:第03】 次▶司馬牛問仁。子曰。仁者其言也訒。曰。其言也訒。斯謂之仁已乎。子曰。爲之難。言之得無訒乎。
司馬牛仁を問う。子曰く、仁者は其の言うや訒す。曰く、其の言うや訒す。斯に之を仁と謂うか。子曰く、之を為すこと難し。之を言いて訒する無きを得んや。
司馬牛が仁についてたずねた。先師はこたえられた。――
「仁者というものは、言いたいことがあっても、容易に口をひらかないものだ」
司馬牛がさらにたずねた。――
「容易に口をひらかない、それだけのことが仁というものでございましょうか」
すると先師はいわれた。――
「仁者は実践のむずかしさをよく知っている。だから、言葉をつつしまないではいられないのだ」(下村湖人『現代訳論語』)