◀前 【11.先進:第24】 次▶子路使子羔爲費宰。子曰。賊夫人之子。子路曰。有民人焉。有社稷焉。何必讀書。然後爲學。子曰。是故惡夫佞者。
子路、子羔をして費の宰為らしむ。子曰く、夫の人の子を賊わん。子路曰く、民人有り、社稷有り。何ぞ必ずしも書を読みて、然る後に学と為さん。子曰く、是の故に夫の佞者を悪む。
子路が子羔を費の代官に推挙した。先師は、そのことをきいて子路にいわわた。――
「そんなことをしたら、かえってあの青年を毒することになりはしないかね。実務につくには、まだ少し早や過ぎるように思うが」
子路がいった。――
「費には治むべき人民がありますし、祭るべき神々の社があります。子羔はそれで実地の生きた学問ができると存じます。なにも机の上で本を読むだけが学問ではありますまい」
すると、先師はいわれた。――
「そういうことをいうから、私は、口達者な人間をにくむのだ!」(下村湖人『現代訳論語』)