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子路使子羔爲費宰。子曰。賊夫人之子。子路曰。有民人焉。有社稷焉。何必讀書。然後爲學。子曰。是故惡夫佞者。
子路しろこうをしてさいらしむ。のたまわく、ひとそこなわん。子路しろいわく、民人みんじんり、しゃしょくり。なんかならずしもしょみて、しかのちがくさん。のたまわく、ゆえ佞者ねいしゃにくむ。
子路がこうを費の代官に推挙した。先師は、そのことをきいて子路にいわわた。――
「そんなことをしたら、かえってあの青年を毒することになりはしないかね。実務につくには、まだ少し早や過ぎるように思うが」
子路がいった。――
「費には治むべき人民がありますし、祭るべき神々の社があります。子羔はそれで実地の生きた学問ができると存じます。なにも机の上で本を読むだけが学問ではありますまい」
すると、先師はいわれた。――
「そういうことをいうから、私は、口達者な人間をにくむのだ!」(下村湖人『現代訳論語』)