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子張問善人之道。子曰。不踐迹。亦不入於室。
ちょう善人ぜんにんみちう。のたまわく、あとまざれば、しつらず。
子張がたずねた。――
「天性善良な人は、別に学問などしなくても、自然に道に合するようになる、というようにも考えられますが、いかがでしょう」
先師がこたえられた。――
「どうにか危険のない道を進むことはできるかもしれない。しかし、せっかく先人に開拓してもらったすばらしい道があるのに、その道を歩かないというのは惜しいことだ。それに、第一、そんな自己流では、しょせん、道の奥義をつかむことは出来ないだろう」(下村湖人『現代訳論語』)