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顏淵死。子哭之慟。從者曰。子慟矣。曰。有慟乎。非夫人之爲慟。而誰爲。
顔淵がんえんす。これこくしてどうす。従者じゅうしゃいわく、どうせりと。いわく、どうするりしか。ひとためどうするにあらずして、ためにかせんと。
顔淵が死んだ。先師はその霊前で声をあげて泣かれ、ほとんど取りみだされたほどの悲しみようであった。おともの門人が、あとで先師にいった。――
「先生も今日はお取りみだしのようでしたね」
先師がこたえられた。――
「そうか。取りみだしていたかね。だが、あの人のためになげかないで、誰のためになげこう」(下村湖人『現代訳論語』)