◀前 【11.先進:第09】 次▶顏淵死。子哭之慟。從者曰。子慟矣。曰。有慟乎。非夫人之爲慟。而誰爲。
顔淵死す。子、之を哭して慟す。従者曰く、子慟せりと。曰く、慟する有りしか。夫の人の為に慟するに非ずして、誰が為にかせんと。
顔淵が死んだ。先師はその霊前で声をあげて泣かれ、ほとんど取りみだされたほどの悲しみようであった。おともの門人が、あとで先師にいった。――
「先生も今日はお取りみだしのようでしたね」
先師がこたえられた。――
「そうか。取りみだしていたかね。だが、あの人のためになげかないで、誰のためになげこう」(下村湖人『現代訳論語』)