◀前 【10.郷党:第16】 次▶寢不尸。居不容。見齊衰者。雖狎必變。見冕者與瞽者。雖褻必以貌。凶服者式之。式負版者。有盛饌。必變色而作。迅雷風烈必變。
寝ぬるに尸せず。居るに容づくらず。斉衰者を見れば、狎れたりと雖も必ず変ず。冕者と瞽者とを見れば、褻れたりと雖も必ず貌を以てす。凶服者には之に式す。負版者に式す。盛饌有れば、必ず色を変じて作つ。迅雷風烈には必ず変ず。
寝るのに、死人のような寝方はされない。すまいに形式ばった容儀は作られない。喪服の人にあわれると、その人がどんなに心やすい人であっても、必ずつつしんだ顔になられる。衣冠をつけた人や、盲人にあわれると、あらたまった場所でなくても、必ず礼儀正しい態度になられる。車上で喪服の人にあわれると、車の横木に手をかけて頭を下げられる。国家の地図や戸籍を運搬する役人に対しても同様である。手厚いもてなしを受けられる時には、心から思いがけないという顔をして、立って礼をいわれる。ひどい雷鳴や烈しい嵐の時には、形を正して敬虔な態度になられる。(下村湖人『現代訳論語』)