◀前 【10.郷党:第06】 次▶君子不以紺緅飾。紅紫不以爲褻服。當暑袗絺綌。必表而出之。緇衣羔裘。素衣麑裘。黄衣狐裘。褻裘長。短右袂。必有寢衣。長一身有半。狐貉之厚以居。去喪無所不佩。非帷裳。必殺之。羔裘玄冠不以弔。吉月。必朝服而朝。
君子は紺緅を以て飾らず。紅紫は以て褻服と為さず。暑に当たっては袗の絺綌、必ず表して之を出す。緇衣には羔裘、素衣には麑裘、黄衣には狐裘。褻裘は長く、右の袂を短くす。必ず寝衣有り。長さ一身有半。狐貉の厚き以て居る。喪を去けば佩びざる所無し。帷裳に非ざれば、必ず之を殺す。羔裘玄冠しては以て弔せず。吉月には必ず朝服して朝す。
先生は衣服にもこまかな注意を払われる。紺色や淡紅色は喪服の飾りだから、それを他の場合の襟の飾りには用いられないし、また平常服に赤や紫のようなはでな色を用いられることもない。暑い時には単衣のかたびらを着られるが、下着なしに着られることはない。黒衣の下には黒羊の皮衣、白服の下には白鹿の皮衣、黄衣の下には狐の皮衣を用いられる。平常服の皮衣は温かいように長目に仕立てられるが、働きよいように右袂を短くされる。寝衣は必ず別にされ、長さは身長の一倍半である。家居には、狐や狢の毛皮を用いて暖かにされる。喪の時以外は玉その他の装身具をきちんと身につけていられる。官服・祭服のほかは簡略にして布地を節約される。黒羊の皮衣や黒の冠で弔問されることはない。退官後も、毎月朔日には礼服を着て参賀される。(下村湖人『現代訳論語』)