◀前 【10.郷党:第05】 次▶
執圭。鞠躬如也。如不勝。上如揖。下如授。勃如戰色。足蹜蹜如有循。享禮有容色。私覿。愉愉如也。
けいれば、きくきゅうじょたり。えざるがごとし。ぐるにはゆうするがごとく、ぐることさずくるがごとし。勃如ぼつじょとしてせんしょくあり。あし蹜蹜しゅくしゅくとしてしたがるがごとし。きょうれいにはようしょくり。覿てきには愉愉ゆゆじょたり。
他国に使いし、けいを捧げてその君主にまみえられる時には、小腰をかがめて進まれ、圭の重さにたえられないかのような物腰になられる。圭を捧げられた手をいくらか上下されるが、上っても人にあいさつする程度、下っても人に物を授ける程度で、極めて適度である。その顔色は引きしまり、あたかも戦陣にのぞむかのようであり、足は小股に歩んで地に引きつけられているかのようである。贈物を捧げる礼にはなごやかな表情になられ、式が終って私的の礼となると、全くうちとけた態度になられる。(下村湖人『現代訳論語』)