◀前 【10.郷党:第03】 次▶
君召使擯。色勃如也。足躩如也。揖所與立。左右手。衣前後。襜如也。趨進。翼如也。賓退。必復命。曰。賓不顧矣。
きみしてひんせしむれば、いろ勃如ぼつじょたり。あし躩如かくじょたり。ともところゆうするには、ゆうにす。ころもぜん襜如せんじょたり。はしすすむに翼如よくじょたり。ひん退しりぞくや、かなら復命ふくめいしていわく、ひんかえりみずと。
君公に召されて国賓の接待を仰せつけられると、顔色が変るほど緊張され、足がすくむほど慎まれる。そして同役の人々にあいさつされるため、左右を向いてこまねいた手を上下されるが、その場合、衣の裾の前後がきちんと合っていて、寸分もみだれることがない。国賓の先導をなされる時には、小走りにお進みになり、両袖を鳥の翼のようにお張りになる。そして国賓退出の後には、必ず君公に復命していわれる。――
「国賓はご満足のご様子でお帰りになりました」(下村湖人『現代訳論語』)