◀前 【09.子罕:第05】 次▶子畏於匡。曰。文王既没。文不在茲乎。天之將喪斯文也。後死者。不得與於斯文也。天之未喪斯文也。匡人其如予何。
子、匡に畏す。曰く、文王既に没し、文茲に在らずや。天の将に斯の文を喪ぼさんとするや、後死の者、斯の文に与かるを得ざるなり。天の未だ斯の文を喪ぼさざるや、匡人其れ予を如何せん。
先師が匡で遭難された時いわれた。――
「文王がなくなられた後、文という言葉の内容をなす古聖の道は、天意によってこの私に継承されているではないか。もしその文をほろぼそうとするのが天意であるならば、なんで、後の世に生れたこの私に、文に親しむ機会が与えられよう。文をほろぼすまいというのが天意であるかぎり、匡の人たちが、いったい私に対して何ができるというのだ」(下村湖人『現代訳論語』)