◀前 【09.子罕:第02】 次▶逹巷黨人曰。大哉孔子。博學而無所成名。子聞之。謂門弟子曰。吾何執。執御乎。執射乎。吾執御矣。
達巷の党人曰く、大なるかな孔子。博学にして名を成す所無し。子、之を聞き、門弟子に謂いて曰く、吾何をか執らん。御を執らんか、射を執らんか。吾は御を執らん。
達巷という村のある人がいった。――
「孔先生はすばらしい先生だ。博学で何ごとにも通じておいでなので、これという特長が目立たず、そのために、かえって有名におなりになることがない」
先師はこれを聞かれ、門人たちにたわむれていわれた。――
「さあ、何で有名になってやろう。御にするかな、射にするかな。やっぱり一番たやすい御ぐらいにしておこう」(下村湖人『現代訳論語』)