◀前 【08.泰伯:第05】 次▶曾子曰。以能問於不能。以多問於寡。有若無。實若虚。犯而不校。昔者吾友。嘗從事於斯矣。
曾子曰く、能を以て不能に問い、多きを以て寡きに問い、有れども無きがごとく、実つれども虚しきがごとく、犯さるるも校せず。昔者吾が友、嘗て斯に従事せり。
曾先生がいわれた。――
「有能にして無能な人に教えを乞い、多知にして少知の人にものをたずね、有っても無きがごとく内に省み、充実していても空虚なるがごとく人にへりくだり、無法をいいかけられても相手になって曲直を争わない。そういうことのできた人がかつて私の友人にあったのだが」(下村湖人『現代訳論語』)