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互郷難與言。童子見。門人惑。子曰。與其進也。不與其退也。唯何甚。人絜己以進。與其絜也。不保其往也。
きょうともがたし。どうまみゆ。門人もんじんまどう。のたまわく、すすむにくみするなり。退しりぞくにくみせざるなり。なんはなはだしきや。ひとおのれきよくしてもっすすまば、きよきにくみするなり。おうせざるなり。
きょうという村の人たちは、お話にならないほど風俗が悪かった。ところがその村の一少年が先師に入門をお願いして許されたので、門人たちは先師の真意を疑った。すると、先師はいわれた。――
「せっかく道を求めてやって来たのだから、喜んで迎えてやって、退かないようにしてやりたいものだ。おまえたちのように、そうむごいことをいうものではない。いったい、人が自分の身を清くしようと思って一歩前進して来たら、その清くしようとする気持をくんでやればいいので、過去のことをいつまでも気にする必要はないのだ」(下村湖人『現代訳論語』)