◀前 【07.述而:第27】 次▶子曰。蓋有不知而作之者。我無是也。多聞擇其善者而從之。多見而識之。知之次也。
子曰く、蓋し知らずして之を作る者有らん。我は是れ無きなり。多く聞きて其の善き者を択びて之に従い、多く見て之を識すは、知るの次なり。
先師がいわれた。――
「無知で我流の新説を立てる者もあるらしいが、私は絶対にそんなことはしない。私はなるべく多くの人の考えを聞いて取捨選択し、なるべく多く実際を見てそれを心にとめておき、判断の材料にするようにつとめている。むろん、それではまだ真知とはいえないだろう。しかし、それが真知にいたる途なのだ」(下村湖人『現代訳論語』)