◀前 【07.述而:第08】 次▶
子曰。不憤不啓。不悱不發。擧一隅。不以三隅反。則不復也。
のたまわく、ふんせざればけいせず。せざればはっせず。一隅いちぐうげて、三隅さんぐうもっかえさざれば、すなわふたたびせざるなり。
先師がいわれた。――
「私は、教えを乞う者が、まず自分で道理を考え、その理解に苦しんで歯がみをするほどにならなければ、解決の糸口をつけてやらない。また、説明に苦しんで口をゆがめるほどにならなければ、表現の手引を与えてやらない。むろん私は、道理の一隅ぐらいは示してやることもある。しかし、その一隅から、あとの三隅を自分で研究するようでなくては、二度とくりかえして教えようとは思わない」(下村湖人『現代訳論語』)