◀前 【06.雍也:第24】 次▶宰我問曰。仁者雖告之曰。井有仁者焉。其從之也。子曰。何爲其然也。君子可逝也。不可陥也。可欺也。不可罔也。
宰我、問いて曰く、仁者は之に告げて井に仁有りと曰うと雖も、其れ之に従わん。子曰く、何為れぞ其れ然らんや。君子は逝かしむべきなり。陥るべからざるなり。欺くべきなり。罔うべからざるなり。
宰我が先師にたずねた。――
「仁者は、もしも井戸の中に人がおちこんだといって、だまされたら、すぐ行ってとびこむものでしょうか」
先師がこたえられた。――
「どうしてそんなことをしよう。君子はだまして井戸まで行かせることはできる。しかし、おとし入れることはできない。人情に訴えてあざむくことはできても、正しい判断力を失わせることはできないのだ」(下村湖人『現代訳論語』)