◀前 【06.雍也:第02】 次▶
哀公問。弟子孰爲好學。孔子對曰。有顔回者好學。不遷怒。不貳過。不幸短命死矣。今也則亡。未聞好學者也。
哀公あいこうう、弟子ていしたれがくこのむとす。こうこたえていわく、顔回がんかいなるものりて、がくこのみたり。いかりをうつさず、あやまちをふたたびせず。こう短命たんめいにしてせり。いますなわし。いまがくこのものかざるなり。
哀公が先師にたずねられた。――
「門人中で誰が一番学問が好きかな」
先師がこたえられた。――
「顔回と申すものがおりまして、たいへん学問が好きでありました。怒りをうつさない、過ちをくりかえさない、ということは、なかなかできることではありませんが、それが顔回にはできたのでございます。しかし、不幸にして短命でなくなりました。もうこの世にはおりません。顔回なきあとには、残念ながら、ほんとうに学問が好きだといえるほどの者はいないようでございます」(下村湖人『現代訳論語』)