◀前 【05.公冶長:第08】 次▶子謂子貢曰。女與回也孰愈。對曰。賜也何敢望回。回也聞一以知十。賜也聞一以知二。子曰。弗如也。吾與女弗如也。
子、子貢に謂いて曰く、女と回と孰れか愈れる。対えて曰く、賜や、何ぞ敢えて回を望まん。回や一を聞いて以て十を知る。賜や一を聞いて以て二を知るのみ。子曰く、如かざるなり。吾と女と如かざるなり。
先師が子貢にいわれた。――
「おまえと回とは、どちらがすぐれていると思うかね」
子貢がこたえていった。――
「私ごときが、回と肩をならべるなど、思いも及ばないことです。回は一をきいて十を知ることができますが、私は一をきいてやっと二を知るにすぎません」
すると先師はいわれた。――
「実際、回には及ばないね。それはおまえのいうとおりだ。おまえのその正直な答はいい」(下村湖人『現代訳論語』)