◀前 【05.公冶長:第07】 次▶孟武伯問。子路仁乎。子曰。不知也。又問。子曰。由也。千乘之國。可使治其賦也。不知其仁也。求也何如。子曰。求也。千室之邑。百乘之家。可使爲之宰也。不知其仁也。赤也何如。子曰。赤也束帶立於朝。可使與賓客言也。不知其仁也。
孟武伯問う、子路は仁なるか。子曰く、知らざるなり。又た問う。子曰く、由や、千乗の国、其の賦を治めしむべきなり。其の仁を知らざるなり。求や何如。子曰く、求や、千室の邑、百乗の家、之が宰たらしむべきなり。其の仁を知らざるなり。赤や何如。子曰く、赤や、束帯して朝に立ち、賓客と言わしむべきなり。其の仁を知らざるなり。
孟武伯が先師にたずねた。――
「子路は仁者でございましょうか」
先師がこたえられた。――
「わかりませぬ」
孟武伯は、しかし、おしかえしてまた同じことをたずねた。すると先師はいわれた。――
「由は千乗の国の軍事をつかさどるだけの能力はありましょう。しかし仁者といえるかどうかは疑問です」
「では、求はいかがでしょう」
先師はこたえられた。――
「求は千戸の邑の代官とか、百乗の家の執事とかいう役目なら十分果たせましょう。しかし、仁者といえるかどうかは疑問です」
「赤はどうでしょう」
先師はこたえられた。――
「赤は式服をつけ、宮廷において外国の使臣の応接をするのには適しています。しかし、仁者であるかどうかは疑問です」(下村湖人『現代訳論語』)