◀前 【05.公冶長:第04】 次▶或曰。雍也仁而不佞。子曰。焉用佞。禦人以口給。屢憎於人。不知其仁。焉用佞。
或ひと曰く、雍や、仁にして佞ならず。子曰く、焉んぞ佞を用いん。人を禦ぐに口給を以てすれば、屢人に憎まる。其の仁なるを知らず、焉んぞ佞を用いん。
ある人がいった。――
「雍は仁者ではありますが、惜しいことに口下手で、人を説きふせる力がありません」
すると先師がいわれた。
「口下手など、どうでもいいことではないかね。人に接して口先だけうまいことをいう人は、たいていおしまいには、あいそをつかされるものだよ。私は雍が仁者であるかどうかは知らないが、とにかく、口下手は問題ではないね」(下村湖人『現代訳論語』)