◀前 【04.里仁:第15】 次▶子曰。參乎。吾道一以貫之。曾子曰。唯。子出。門人問曰。何謂也。曾子曰。夫子之道。忠恕而已矣。
子曰く、参や、吾が道は一以て之を貫く。曾子曰く、唯。子出ず。門人、問いて曰く、何の謂いぞや。曾子曰く、夫子の道は、忠恕のみ。
先師がいわれた。――
「参よ、私の道はただ一つの原理で貫かれているのだ」
曾先生がこたえられた。――
「さようでございます」
先師はそういって室を出て行かれた。すると、ほかの門人たちが曾先生にたずねた。――
「今のはなんのことでしょう」
曾先生はこたえていわれた。――
「先生の道は忠恕の一語につきるのです」(下村湖人『現代訳論語』)