◀前 【04.里仁:第06】 次▶
子曰。我未見好仁者惡不仁者。好仁者無以尚之。惡不仁者其爲仁矣。不使不仁者加乎其身。有能一日用其力於仁矣乎。我未見力不足者。蓋有之矣。我未之見也。
のたまわく、われいまじんこのものじんにくむ者をず。じんこのものは、もっこれくわうるし。じんにくものは、じんさん。不仁者ふじんしゃをしてくわえしめず。一日いちじつちからじんもちうることらんか。われいまちかららざるものず。けだらん。われいまこれざるなり。
先師がいわれた。――
「私はまだ、真に仁を好む者にも、真に不仁をにくむ者にも会ったことがない。真に仁を好む人は自然に仁を行なう人で、まったく申し分がない。しかし不仁を悪む人も、つとめて仁を行なうし、また決して不仁者の悪影響をうけることがない。せめてその程度には誰でもなりたいものだ。それは何もむずかしいことではない。今日一日、今日一日と、その日その日を仁にはげめばいいのだ。たった一日の辛抱さえできない人はまさかないだろう。あるかも知れないが、私はまだ、それもできないような人を見たことがない」(下村湖人『現代訳論語』)