◀前 【03.八佾:第24】 次▶儀封人請見。曰。君子之至於斯也。吾未嘗不得見也。從者見之。出曰。二三子。何患於喪乎。天下之無道也久矣。天將以夫子爲木鐸。
儀の封人、見えんことを請う。曰く、君子の斯に至るや、吾未だ嘗て見ゆることを得ずんばあらざるなり。従者之を見えしむ。出でて曰く、二三子、何ぞ喪うことを患えんや。天下の道無きや久し。天将に夫子を以て木鐸と為さんとす。
儀の関守が先師に面会を求めていった。――
「有徳のお方がこの関所をお通りになる時に、私がお目にかかれなかったためしは、これまでまだ一度もございません」
お供の門人たちが、彼を先師の部屋に通した。やがて面会を終って出て来た彼は、門人たちにいった。――
「諸君は、先生が野に下られたことを少しも悲観されることはありませんぞ。天下の道義が地におちてすでに久しいものですが、天は、先生を一国だけにとめておかないで、天下の木鐸にしようとしているのです」(下村湖人『現代訳論語』)