◀前 【02.為政:第23】 次▶子張問。十世可知也。子曰。殷因於夏禮。所損益可知也。周因於殷禮。所損益可知也。其或繼周者。雖百世可知也。
子張問う、十世知るべきや。子曰く、殷は夏の礼に因る。損益する所知るべきなり。周は殷の礼に因る。損益する所知るべきなり。其れ或いは周に継ぐ者は、百世と雖も知るべきなり。
子張がたずねた。――
「十代も後のことが果してわかるものでございましょうか」
先師がこたえられた。――
「わかるとも。殷の時代は夏の時代の礼制を踏襲して、いくらか改変したところもあるが、根本は変っていない。周の時代は殷の時代の礼制を踏襲して、いくらか改変したところがあるが、やはり根本は変っていない。今後周についで新しい時代がくるかも知れないが、礼の根本は変らないだろう。真理というものは、このように過現未を通ずるものだ。従って十代はおろか百代の後も予見できるのだ」(下村湖人『現代訳論語』)