◀前 【02.為政:第05】 次▶孟懿子問孝。子曰。無違。樊遲御。子告之曰。孟孫問孝於我。我對曰無違。樊遲曰。何謂也。子曰。生事之以禮。死葬之以禮。祭之以禮。
孟懿子、孝を問う。子曰く、違うこと無かれ、と。樊遅御たり。子之に告げて曰く、孟孫、孝を我に問う。我対えて曰く、違うこと無かれ、と。樊遲曰く、何の謂ぞや、と。子曰く、生きては之に事うるに礼を以てし、死しては之を葬むるに礼を以てし、之を祭るに礼を以てす。
大夫の孟懿子が孝の道を先師にたずねた。すると先師はこたえられた。――
「はずれないようになさるがよろしいかと存じます」
そのあと、樊遅が先師の車の御者をつとめていた時、先師が彼にいわれた。――
「孟孫が孝の道を私にたずねたので、私はただ、はずれないようになさるがいい、とこたえておいたよ」
樊遅がたずねた。――
「それはどういう意味でございましょう」
先師がこたえられた。――
「親の存命中は礼をもって仕え、その死後は礼をもって葬り、礼をもって祭る。つまり、礼にはずれないという意味だ」(下村湖人『現代訳論語』)