◀前 【15.衛霊公:第01】 次▶
衞靈公問陳於孔子。孔子對曰。俎豆之事。則嘗聞之矣。軍旅之事。未之學也。明日遂行。在陳絶糧。從者病。莫能興。子路慍見曰。君子亦有窮乎。子曰。君子固窮。小人窮斯濫矣。
えい霊公れいこうじんこうう。こうこたえていわく、とうことは、すなわかつこれけり。軍旅ぐんりょことは、いまこれまなばざるなりと。明日めいじつついる。ちんりてりょうつ。従者じゅうしゃみて、つことし。子路しろいかりてまみえていわく、くんきゅうすることるか。のたまわく、くんもとよりきゅうす。しょうじんきゅうすればここみだる。
衛の霊公が戦陣のことについて先師に質問した。先師がこたえていわれた。――
「私は祭具の使い方については学んだことがありますが、軍隊の使い方については学んだことがございません」
翌日先師はついに衛を去られた。――
ちんにおいでの時に、食糧攻めにあわれた。お伴の門人たちは、すっかり弱りきって、起きあがることもできないほどであった。子路が憤慨して先師にいった。――
「君子にも窮するということがありましょうか」
すると、先師がいわれた。――
「君子もむろん窮することがある。しかし、窮してもとりみださない。小人は窮すると、すぐにとりみだすのだ」(下村湖人『現代訳論語』)