大学入試③ よくわかる
多彩な学生求め知恵絞る
大学べ試の形が多様化している。従来の一般入試に多かった暗記型とは異なる試験が広がっている。多種多彩な学生を受け入れる狙いがある、
 上智大学は日本英語検定協会と英語試験「TEAP」を共同開発し、2015年度の入試から.取り入れた。「読む」「聞く」だけでなく「書く」「話す」を細えた4つの試験を受けてもらい、{英語の総合力を測る。
 15年度入試では上智大学のほか、立教大学や関西大学、立命館アジア太平洋大学が一般入試や、書類審査や面接で選考するアドミッション・オフィス(AO)入試にTEAPを取り入れた。16年度以降は取り入れる大学が増え、TEAPの受験者数も拡大しそうだ。
 外部の英語試験は年に複数回受験できる利点がある。TEAPは高校2年生以上が対象。「一発勝負」てはないため、学生は落ち着いて実力を発揮てきる。読む、聞く、書く、話すの4技能がそろった14年12月の試験で約3600人だった志願者は、15年7月に約4800人まで増えた。
 TEAPのほか「TOEFL」など外部機関の英語試験の結果を選考に活用する大学もある。大学側は英語の総合能力を測れ、大学での英語学習や留学などにつなげやすい。利点がある半面、受験料がかかることから公平な受験機会が得られないとの指摘もある。
 ただ、多様化は英語だけではない。東京大学は16年度入試から初めて学力検査を原則免除し、調査書などで判定する推薦入試を導入する。「多様な学生構成の実現と学部教育の活性化」を目指し、特定の分野や活動に卓越した能力、強い関心を持つ学生を迎える。京都大学も「特色入試」として16年度からAOや推薦を初めて導入する。
 文部科学省によると、16年度入試で推薦やAOを実施する国公立大学は過去最多の見通しだ。推薦入試は前年度より2校多い159校。1つ以上の学部でAO入試を実施するのは4校多い75校。同省担当者は「一般入試とは異なる試験で多様性を確保し、活性化に役立てようと考える大学が増えている」と分析する。
 立命館大学は16年度から映像学部と文学都で新たなAOへ試を始める。映像学部は受験者に課題を作成させ、プレゼンテーションさせる方式だ。文学都人文学科のAO入試(国際方式)は高校で中国語または韓国語を学んだ生徒を対象。入学後は中国や韓国の大学に2年間留学し、現地の歴史や文化を学ぶプログラムに参加してもらう。
 多様な学生を独自の入試で取り込む動きは一段と加速しそうだ。
《出典》日経産業新聞 (27/09/09) 前頁  次頁