大学入試② よくわかる
受験料割引、地方志願者招く
 全国の大学で志願者の負担を軽減する動きが広がっている。各大学は受験料の割引や1回の賦験で複数の学部・学科を併願できる制度などを相次ぎ導入している。
 東洋大学は2015年度入試の志願者数が前の年度に比べ34%多い約8万3500人となり、23年ぶりに過去最高を更新した。10位前後で推移していた志願者数の全国順位も7位に上昇した。躍進の原動力のひとつが15年度入試から拡充した受験料の割引制度だ。
 15年度入試ではセンター試験と併願する受験生が対象の割引制度を加えた。センター試験との併醸は受験料が1学科につき2万円だったが、2学科までの併願なら2万円に、3学科目からは1万円にした。2学科併願の場合、新制度では従来に比べ2万円安くなる。
 明治大学は07年度の一般入試から1回の試験で複数の学部を併願できる制屋「全学部続一入学試験」を導入している。1学鄙のみの受験料は3方5000円だが、2学部目以降は2万円に設定した。「交通費などがかさむ地方の志願者の受験機会を増やすためだ」(明治犬学)という。
 インターネット経由で手続きする「ネット出願」に伴ラ割引も広がりつつある。入試情報誌「蛍雪時代」を発行する旺文社(東京・新宿}によると、15年度入試の時点でネット出願を受け付ける私立大学は3割を超えた。そのうち半数近い大学が受験料を割り引く「ネット割」を実施した。
 専修大学は16年度入試からネット出願制度を導入する。紙での出願も受け付けるが、一般入試でネット出願した場含、紙では3方5000円かか
る受験料を3000円割り引く。複数の学部を併願した場合はさらに安くする。「ネット出願で浮いたコストを志願者に遺元する」(専峰大学〕
 地方が対象の割引で志願者獲得を目指す大学もある。東京都杉亜区にキャンパスがある高千穂大学は02年度入試から地方の愛験生を対象に「遠隔地割引」を導入している。地万在住者の受験料を1万円割り引く。
 16年度入試からは北海道や四国、九州、沖縄などが対象だった地域を1都3県(東京。神奈川、埼玉、千葉)以外に広げる。入試課の担当者は「交通費などがかかる地方の受験生の負担を軽減するためだ」と話す。
 受験料割引は志願者の増加を期待できる一方で収入減を招きかねない。大学通信(東京・千代田)の安田賢治常務は「少子化が進むなか、大学の課題は優秀な学生の獲得。受鹸料を下げても志願者増で補えると考える大学が多い」と分析する。
《出典》日経産業新聞 (27/09/08) 前頁  次頁