硬くてさびない鉄
純水の蒸気で被膜形成(長岡熱錬)
 金属熱処理加工の長岡熱錬(新潟県長岡市、酒澤紀生社長)は純水の加熱水蒸気を使って鉄・鋳鉄製品の表面を四三酸化鉄で覆い、腐食しにくく強度に優れた素材とする新技術「BOF処理」を開発した。さびの原因となる中間生成物発生を二重の被膜処理で抑制。費用もメッキ処理などと比較して安価なため、工作機械部品など広範囲の需要を見込んでいる。
 BOF処理は「Black Oxide Film Process」の略。鉄製品などをセ氏400~600度に熟した真空の炉に入れ、水蒸気を送り込む。水蒸気の酸素、水素と鉄が化学反応し、表面に四三酸化鉄の被膜ができる。膜の厚さは0.003~0.02㍉で、外観は光沢の黒色に変化する。    ゛
 製品を5%の塩水に漬ける実験では、未処理のものは48時間後に全面がさびで覆われた。BOF処理をした製品は30日以上たっても全く変化しなかった。耐摩耗性も従来の25倍近い結果が出た。メッキ処理は製品1kg当たり2000円程度の費用がかかる場合もあるが、BOF処理は200~400円という。(長岡)
《出典》日経産業新聞 (16/01/28) 前頁  次頁