複数見積もりで割安な建設費提案
ニッポンのキラ企業(プラスPM)
 プフスPM(大阪府吹田市、本村譲二社長)はコスト削減を目的とした建設コンサルティングを手掛ける。ゼネコンを通さず、見積もりを複数の工事業者から直接取ることで割安な建設費を提案する建設管理システム、コンストラクションマネジメント(CM)方式を運用。今年4月には東京事務所を開設し、営業基盤盤を広げている。
 木村社長は建築士としてゼネコンやマンションデベロッパーなどに勤務していたころから、元請けのゼネコンが自社に関係が深い業者に一括発注し、土建や水道工事など建設コストの内訳が不明りょうなことに疑問を抱いていた。「建設の不透明なコスト体系を改善したかった」と語る。
 1986年設計会社を設立し、95年に米国では一般的なCMに着目。97年からCM事業に乗り出した。米国のCMはゼネコンが介在しないが、日本ではゼネコンの信用力が強みとなるため、プラスPMは予算や設計図をもとに工事業者を選定した後、プロジェクトをゼネコンに持ち込む。
 ゼネコンは事業主に対し、プラスPMからの案件の一括請負契約を締結する。物件が完成した後、メンテナンスも担当する。プラスPMは事業主から基本業務報酬のほか、当初の予算から減額した分の20-30%を受け取る。平均でプロジェクトの総工費の3%になると説明する。
 各工事業者間で価格競争を促すため、「ゼネコンが設定するプロジェクトの価格に比べて2割は低減できる」と木村社長。選定は地元の業者が対象で、地域振興にもつながる。現在、専門工事業者としてプラスPMに登録している業者は関西で約900社、関東で約400社。業者の与信データも蓄積した。
 これまでCMで手掛けたマンションは40件。CM事業のほか、医療機関や工場の設計コンサルティングも第二の事業の柱として育成している。病院や介護施設は、浴室やトイレの設計などで一般の建築物とは異なるノウハウが必要。機能やデザインを追求するため、建設コストもかさみがちだが、そこにもCMを導入する。
 社員には1級建築士や1級施工管理技師の資格を持つ入が多い。「建設の現場を経験し、非効率な仕組みを変えたいと考えている入たちが集まった」(木村社長)
 今春、東京事務所(東京・港)を開設したのを機に首都圏でも受注の機会を拡大。CMの知名度が向上し、各地で公共工事をCMで発注しようとする動きもみられることから、来年以降は自治体に営業を進める予定だ。
 木村社長の現在の目標は「できるだけ多くの人にCMを知ってもらうこと」。建設コスト削減に対する理念を持続するため、「規模の拡大には社員教育の徹底が不可欠」とする。来年メドにベンチャーキャピタル(VC)の投資を受けられるようIR(投資家向け広報)を強化。2006年秋には東証マザーズに上場したいと考えている。      (天野由輝子)
《出典》日経産業新聞 (15/12/18) 前頁  次頁