住宅の基礎杭 冷暖房利用
熱交換機と一体化 地熱取り込む
【郡山】建築設計事務所の住環境設計室(福島県郡山市、影山千秋社長)は、住宅の基礎工事に使う杭(くい)に熱交換器を組み込んだ地熱利用の冷暖房システムを開発した。年間を通じてセ氏17度前後の地中の熱を効率よく取り込む。北海道大学と共同で今春から性能実験を始め、暖房機器メーカーと組んで年内の製品化をめざす。

 同社は直径十九㌢㍍の鋼管の先に二枚の掘削刃を付け、油圧ショベルで回転させながら埋設する基礎杭「プレードパイル」を開発し、昨年は約450カ所の建設現場向けに販売した。一般的な戸建て住宅の場合、20~25本を地下6㍍まで埋めて家を支える。ほぼ一日で埋設でき、作業時に振動や残土も出ないのが特徴だ。標準工費は70万円。
 今回開発したのは、地中に埋める鋼管杭の中にさび止め剤を加えた水溶液と熱交換用のパイプを入れ、室外機(ヒートポンプ)とつなげて地熱を取り込む仕組み。室内機から温風を吹き出し、床暖房や融雪ネット用にも利用できる。これまでの実験では冬は室内をセ氏23度程度に、夏は25度前後に保つことができたという。
 客観的な性能評価を受けるため、三月から北海道大学と共同で冷暖房システムの稼働実験を始める。システム全体の価格は未定だが、首都圏の暖房機器メーカーと提携して年内の製品化をめざしている。
《出典》日経産業新聞 (15/02/09) 前頁  次頁