燻煙で木材を乾燥
新手法、囲炉裏にヒント
 宮崎県住宅事業協同組合(溝口直人代表理事)は囲炉裏(いろり)でいぶされた柱や梁(はり)にヒントを得て、新しい木材の乾燥法を開発した。燻煙(くんえん)で乾燥する技術で、短時間で効率的に乾燥し、木材の腐りを防ぎ、白アリを寄せ付けない効果もある。宮崎県産杉材の需要拡大に結び付ける。
同組合技術顧問の鹿島淳氏、県、宮崎大の協力で3年がかりで開発した。
 囲炉裏のある家の柱は煙でいぶされ黒ずんでいるが、強くて耐久性がある。煙に含まれる成分が木材の強度を増し、反りや割れ、ねじれなどを防ぎ、殺菌や防腐にも効果があることに着目、人工乾燥に応用した。
 製材で出るおがくずや端材を燃やして出る煙に水蒸気と熱を加え、酸素の少ない状態に保った加圧乾燥炉の中を循環させる。炉内の温度、湿度、煙を制御し、最適の条件で乾燥させる。
 材内の均等加熱や湿度調整で、従来の燻煙処理で問題になっていた乾燥に伴う割れを防ぐことが出来る。乾燥時間はこれまでの人工乾燥では約2週間かかったが、72時間で済む。含水率が高く人工乾燥が難しかった杉材にも有効で、丸太の乾燥もできる。
 同組合は燻煙乾燥木材を健康木材として売り込み、年間約100棟の部材の受注を見込んでいる。県にも木造公共建築物に積極的に燻煙処理木材を採用するよう働き掛ける。
《出典》日経産業新聞 (11/02/03) 前頁  次頁