蓄熱式空調 家庭用に
床下に小型タンク
 ナショナル住宅産業は関西電力、松下冷機と共同で、割安な夜間電力を使って冷暖房と給湯を行う家庭用の蓄熱式空調システムを開発した。冬場は蓄熱して暖房・給湯し、夏場は氷の冷気で冷房するとともに製氷時の廃熱を給湯に使う。99年秋に製品化、全国で発売する。家庭用システムは珍しいという。増加傾向にある一般家庭からの二酸化炭素排出量を削減できるうえ、昼間に集中している電力消費量の平準化にもつながる。
 このシステムは電気料金が割安は午後11時から翌午前7時までの間に製氷・蓄熱する。ナショナル住宅の試算によると、一般的な戸建て住宅で電気エアコンとガス給湯器を使用する場合に比べて、光熱費を年間8万円近く抑えることができるという。
 システムは屋外設置のヒートポンプユニット、床下設置の蓄熱タンクと貯場タンク、天井裏のファンコイルで構成。蓄熱タンクに使用する潜熱蓄熱材の熱容量を従来より30~40%増やしてタンクを小型化し、家屋の床下に設置しやすいようにした。6部屋を冷暖
房し、3室に給湯する場合で、価格は1セット300万円前後を予定している。
 今年秋から松下冷機が単体商品として製造を始める予定で、ナショナル住宅も今秋発売の戸建て住宅にオプション設備として搭載する。建築済み住宅にも取り付けられるため、既存の住宅購入者にも売り込む。
 ビル用の氷蓄熱式空調システムでは、設置すると国の補助金が受けられる。だが、家庭用については商品がなかったため、国の補助制度はない。
 ナショナル住宅や松下冷機は共同で、補助対象となるよう国に働きかけていく考えだ。
《出典》日経産業新聞 (11/02/02) 前頁  次頁