手賀沼浄化へ「湖上農法」
水面のいかだの上で農作物栽培
 千葉県北西部の手賀沼周辺に住む柏市民を中心に組織する「ソフト・エネルギー研究会」(藤本治生代表)は、水面に浮かべたいかだで農作物を栽培する「湖上農法」を開発した。沼の富栄養化原因物質を肥料とするため水質の悪化が著しい手賀沼の浄化に役立つとともに、農作物の販売収入も期待できる。県内企業などに資金面での協力を呼びかけ、99年から湖上農法を軸にした浄化プロジェクトに乗り出す考えだ。
 湖上農法では、同研究会が3年前から独自開発を進めてきた木製のいかだ「マルチ・ラフト」を使用。98年度はラフトを沼の南岸付近に11枚、周辺の農業用排水路に31枚それぞれ設置。沼内のラフトでエンサイとクワイを植えた結果、富栄養化の原因となる窒素とリンを吸収して順調な生育ぶりを示した。
 エンサイはクウシンサイとも呼ばれ、中華料理などに使われ、クワイは日本の正月料理などでおなじみの野菜。エンサイについては1つのラフトで何度でも収穫できる生産性の高さ、クワイは1㌔当たり2000円程度と高値で取引されている点に着目した。
 また、収穫した農作物の分析を千葉大学園芸学部に依頼。鉛やカドミウムなどの重金属含有量について、安全性の面では問題かないことを確認したという。
 手賀沼は周辺の宅地化の進行とともに水質が悪化。水質の指標となる化学的酸素要求量(COD)では、74年度から96年度まで連続して全国ワースト1位となっている。(千葉)
《出典》日経産業新聞 (10/11/30) 前頁  次頁